血圧やコレステロールが高く、腎臓の働きが悪いといわれた
腎硬化症は、高血圧や脂質異常症が原因で腎臓の血管に動脈硬化を起こし、腎臓の障害をもたらす疾患です。腎臓は血液をろ過して尿をつくりますが、血液が流れる血管内の壁が厚くなるため血流が少なくなります。そのためろ過する能力が低下し慢性腎臓病となり、進行すると末期腎不全に至ります。腎硬化症は、透析導入が必要な慢性腎不全の原因疾患として、糖尿病性腎症に次いで2番目に多く増加傾向です。
腎硬化症で慢性腎不全になった患者さんは、全身の動脈硬化も進行しているため、生命にかかわる心筋梗塞や脳卒中などの危険性が高いと考えられます。
高血圧や脂質異常症が原因となります。
症状がないまま緩やかに進行していきます。腎硬化症は慢性腎臓病の一般的な原因の一つです。慢性腎臓病が進行するとむくみ、倦怠感、食思不振など症状がみられることもあります。
尿検査は、タンパクがみられることもありますが、多くの場合は異常がみられません。
腎機能検査として血液検査でクレアチニンを測定すると推定糸球体濾過量(eGFR)がわかり、慢性腎臓病の進行の程度を知ることが出来ます。
進行例では超音波検査やCTなどの画像検査で腎臓の萎縮が見られます。血管の硬さの検査(PWV)や直接に動脈硬化の具合を見ることが出来る眼底検査も参考になります。
腎生検による組織採取により確実な診断ができますが、高齢者やすでに腎臓が萎縮している場合はあまり行われません。
これまでの高血圧歴と尿検査所見が矛盾しないこと、他の疾患の可能性を否定できた場合に除外診断されることが多いのが現状です。
適切に血圧を130/80mmHg未満(高齢者では血圧140/90mmHg未満でも可)にコントロールすることが大切です。食事療法(塩分摂取量1日6g以下)や禁煙、運動療法などの生活習慣の改善や適切な降圧薬、脂質異常改善薬の治療を行うことで進行を防ぎます。
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