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板橋区民を主な調査対象とする長期縦断研究として、第2期中期計画終了までは、「都市高齢者の社会・経済・健康格差を乗り越える研究」と「高齢期の健康と自立の維持と要介護予防のための新たな健診システムの開発」という2つの研究がありました。第3期中期計画においては、「板橋お達者健診(コホートおよび介入研究)」という研究課題で、上記の2つの研究を統合して研究を効率よく進めています。
メンバー
長期縦断研究総責任者 |
副所長 粟田 主一 |
2011年コホート統括 |
研究部長 大渕 修一(福祉と生活ケア研究チーム)
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2017・2019年コホート統括 |
研究副部長 笹井 浩行(自立促進と精神保健研究チーム) |
研究部門内の構成員 |
平野 浩彦、岩崎 正則、小原 由紀、枝広 あや子、小島 成実、大須賀 洋祐、本川 佳子 (自立促進と精神保健研究チーム) 藤原 佳典、鈴木 宏幸、桜井 良太(社会参加と地域保健研究チーム) 河合 恒、江尻 愛美、伊藤 久美子(福祉と生活ケア研究チーム) 石神 昭人(老化制御研究チーム) 石井 賢二(神経画像研究チーム) |
病院部門及び他機関の構成員 |
荒木 厚(糖尿病・代謝・内分泌内科) 小島 基永(東京医療学院大学) 解良 武士(高崎健康福祉大学) 西原 賢(埼玉県立大学) 渡邊 裕(北海道大学) 鈴木 隆雄(桜美林大学) 島田 裕之(国立長寿医療センター研究所) 井原 一成(弘前大学) 那須 郁夫(日本大学) |
キーワード
フレイル、サルコペニア、認知機能、要介護、うつ、MMSE、MCI
主な研究
- 認知機能低下とうつとの関連性の評価
- 認知機能の低下を予測する新規パフォーマンステストの開発
- サルコペニアと肺機能との関連
- 身体フレイルとオーラルフレイルとの関連
- 大腿筋エコー輝度の周波数解析による筋質評価
研究紹介
高齢期、特に後期高齢期における健康と自立の維持を目的とし、老年症候群を予防するための新たな健診システムを開発し、本健診によってスクリーニングされたハイリスク高齢者に対して、その後の運動、栄養などの介入プログラムを効率的に運用するための新たな健診システムの有効性について検証する。
- 2008年度コホートの4年度の追跡調査(2012年)のデータに基づき、MMSEによる認知機能と基本チェックリストによるうつとの関連性を分析した。MMSE23点未満群を認知機能低下と仮定し、基本チェックリスト2点以上をうつ症状ありと仮定した。認知機能23点未満群でうつ症状有41.7%(23点以上群で17.3%、χ2=4.752、P=0.029)であった。この結果より、認知機能低下とうつとの関連性が強く示唆された。
- 新たに開発したStepping trail making test(S-TMT)とMMSEなどの既存の認知機能テストとの間に高い相関を有するとの前提で、データを収集・分析した。その結果、S-TMTが遅くなるほどMMSE点数が下がる傾向が観察され(Jonckheere-Terpstra trend test, P <0.01)、S-TMT成績は認知機能評価に有効であることが示唆された。
- 2008年度初回調査時に肺活量の計測が可能だった1,029名を正常群(891名)とサルコペニア群(138名)に分けて、肺機能を比較した。その結果、サルコペニア群は肺活量1815cc(正常群2057cc、P <0.001)、努力性肺活量1568cc(正常群1748cc、P <0.001)、一秒量1286cc(正常群1442cc、P <0.001)と有意に低かったことから、肺活量指標はサルコペニアと強く関連することを明らかにした。
- 2013年度と2015年度包括的健診に参加した65歳以上の追跡調査参加者491名(男性213名、女性278名)を対象に、2年間の変化で健常からプレフレイル(72名)、プレフレイルからフレイル(39名)に変遷した111名と関連する要因を分析した。その結果、ガム(混和能力)、通常歩行速度、MMSE、SDSが有意な予知因子であった。ガム咀嚼より評価した「咀嚼機能」、「通常歩行速度」、「MMSE」はフレイルへの変遷を遅延する効果を有し、SDSはフレイルの促進要因であることを究明した。
- エコー画像測定による大腿四頭筋の筋厚、輝度は高齢者の筋肉量や筋質の評価に用いられているが、筋厚は筋内脂肪の増加、筋輝度はむくみや測定深度の影響も受け、体格や運動機能の個人差が大きい地域高齢者の評価に用いる上では課題がある。このような課題を克服するために、地域高齢者831名を対象に、大腿四頭筋エコー画像のデータを収集し、詳細に分析することによって筋質をより正確に評価できる方法を構築する。