臨床工学科

臨床工学技士とは

センターの中では様々なスタッフが働いています。臨床工学技士も医師や看護師と同様、国家資格者であり、様々な場面でチームの一員として活躍しています。大きな役割として、近年の高度化・複雑化している医療機器に対して、工学的知識と医療的知識を併せ持ち、最善の操作や管理をおこなうスタッフです。令和7年4月現在常勤18名、非常勤2名のスタッフが、医師の指示のもと、様々な科への医療技術提供や機器の保守・点検・修理をおこなっています。

業務紹介

1.血液浄化業務

透析センター
透析センターでは16床+隔離1床の計17床で入院透析・外来透析をおこなっております。個人用透析監視装置6台(内3台がOHDF可能)、多人数用透析監視装置が11台(全台OHDF可能)あり、月・水・金2クール、火・木・土2クールで施行しています。そのほかの血液浄化としてPE、CART、G-CAP、LDL、DHPなどの治療もおこなっております。
また透析室専用エコー装置3台を導入しエコーガイド下穿刺だけでなく、シャントの定期検査を行いシャント狭窄の早期発見、早期治療に役立てています。


  • 【透析開始時】

  • 【シャントエコー定期検査】

2.手術室・ICU業務・血管造影室業務

手術室
医師、看護師、臨床工学技士が連携し、虚血性心疾患、心臓弁膜症、胸部大動脈疾患、腹部大動脈疾患などの手術を行っています。臨床工学技士は人工心肺装置・心筋保護装置・術中自己血回収装置の操作・記録・管理等をおこないます。


【OP室での人工心肺業務】

手術室内の医療機器管理
手術室内の医療機器点検、およびトラブル対応をおこなっています。

自己血回収装置の準備・操作
心臓外科・血管外科の手術の際、術野の出血した血液を吸引貯血し、貯めた血液を遠心分離にかけ濃縮・洗浄させた後、回収する装置の準備・操作をおこなっています。

血管造影室でのサポート業務
主に血管外科に対してIVUSやOFDIの操作などの補助業務を行っています。

ダヴィンチ手術のサポート業務
ダヴィンチの術前準備、動作確認、ロールイン、ロールアウト、術中トラブルの対応などサポート業務を行っています。


【ダヴィンチ手術】

TAVI(経カテーテル的大動脈弁留置術)
ハイブリット室で胸を開かず、また、心臓を止めることなく、「人工弁」を患者の心臓に装着することができる治療で、麻酔科・循環器内科・心臓血管外科・看護師・放射線科・臨床検査科・臨床工学科で結成されたハートチームで臨んでいます。臨床工学技士は2~3名体制でカテーテルへの人工弁のマウントや必要時に行われる体外循環等の治療サポートをおこなっています。


【人工弁のカテーテルへのマウント】

ICU業務
ICU内では補助循環・血液浄化療法・呼吸器管理・CT搬送介助等をおこなっています。その他の医療機器の操作、看護師や医師への機器教育、トラブル対応に対して迅速に対応できるように従事しています。

  • 【ECMO導入】
  • 【ICUでの持続血液浄化治療】

3. 血管造影室業務 (心臓カテーテル業務)

心臓カテーテル検査・治療
X線透視下で、手首または足の付け根の動脈からカテーテルを挿入、造影剤を使用しながら冠動脈の検査を行い、疾患が認められた場合、balloonで拡張、Stentを留置し血流を改善させる治療「冠動脈インターベンション」をおこないます。 臨床工学技士は、患者様の状態をモニタリングしながら、検査時の圧の測定、画像診断装置(IVUS、OFDI)や血管治療器具(ロータブレーター、ダイアモンドバック、エキシマレーザー)の操作をおこないます。また、体外式ペースメーカーを挿入する際に操作をおこないます。

補助循環装置の準備・操作・管理
重症心不全患者や重症呼吸不全患者に使用される機器の導入サポート、使用中の患者管理をおこなっています。

ECMO(体外式膜型人工肺):
心臓や肺がダメージを負い、生命を維持できない場合に一時的にその機能を補う生命維持管理装置

IABP(大動脈内バルーンパンピング):
バルーンのついたカテーテルを胸部下行大動脈内に留置し、心臓の拍動に合わせてバルーンの収縮と拡張を繰り返すことで心臓の補助をする装置

Impella:
左心室に留置し循環を補助するための超小型のポンプを内蔵したカテーテル装置

  • 【血管撮影室でのポリグラフ操作と記録】

  • 【IVUS操作】

4.不整脈業務

不整脈業務ではデバイス(PM・ICD・CRT-D・ICM)植込み術の立会い・病棟や外来でのチェック・遠隔モニタリング・カテーテルアブレーション(経皮的カテーテル心筋焼灼術)に携わっています。

  • 【オペ室でのプログラマー操作】
  • 【デバイス外来】

デバイス植込み術業務
徐脈性・頻拍性の不整脈にデバイス植込み術時のデバイスの準備・プログラマーによる設定・動作確認をおこない設定調整をします。

デバイス外来業務
外来でプログラマーを使用してイベントなどのチェックをおこない医師に報告します。また、MRI撮像の場合には撮像条件を確認して設定変更・立会いをおこないます。

遠隔モニタリング業務
自宅に送信機を設置してもらい、通信回線でデバイスのデータを確認しています。

アブレーション業務
頻拍性の不整脈に対して原因となる心筋部分の焼灼おこなう治療です。3Dマッピング・ポリグラフ装置の操作をおこなっています。

  • 【3Dマッピング装置の操作】
  • 【ポリグラフ操作】

5.MEセンター業務

医療機器管理業務
中央管理機器システムを使いながら、購入・貸出・返却・点検・修理・廃棄管理をおこなっています。輸液ポンプやシリンジポンプなど中央管理を行うことで、医療機器の適正台数での管理を可能としています。さらに、輸液ポンプ・シリンジポンプ・一部の人工呼吸器・除細動器・AEDについては、臨床工学技士が保守点検をおこなっています。

院外搬送対応
人工呼吸器が付いた患者様が転院される際に、搬送用人工呼吸器を用いて、医師とともに救急車や民間救急に乗り、安全に転院ができるように機器管理を行っています。

院内修理対応
医療機器にかかわらず、院内で発生する修理についてMEセンターで一元管理を行っており、臨床工学技士が病棟へ出向いて、様々な修理品について対応しています。院内修理不能の際にも事務と連携し、迅速な院外修理対応をサポートし、状況によっては機器の更新の必要性を提案することで、院内の医療機器の適正管理に貢献しています。

医療機器トラブル対応
日中のみでなく、夜間の医療機器トラブルに対しても当直者が対応しています。365日24時間対応しています。

  • 【シリンジポンプ点検】 
  • 【機器修理対応】

呼吸器管理業務
ICUや病棟での呼吸器管理のため、一日1回呼吸器ラウンドを行い、呼吸器設定の確認や回路交換、使用後点検をおこなっています。機器メンテナンス講習を受けている為、定期点検も実施します。

  • 【呼吸器点検】 
  • 【呼吸器バッテリー交換】

6.内視鏡業務

概要
内視鏡室における介助スタッフとしての需要の高まりを受け、令和4年8月より内視鏡室への介入が始まりました。
令和5年10月には毎日1~2名が内視鏡業務に従事しています。内視鏡室は検査室が3室あり、平日は胃や大腸の内視鏡検査を行っています。治療機器は高機能機種を導入しており、それらを含めた周辺機器の操作や点検等を臨床工学技士が担うことで、安心・安全な環境作りに努めています。

日常管理業務
保有しているスコープは全部で30本程度あり、それらの管理や機器の準備、使用前点検、洗浄のプロセスを遵守し、安心して検査・治療を受けていただけるよう心がけています。
また各業者との連携を図り、故障の傾向から対策の立案など協同してより安全な医療に貢献しています。


診療支援業務
当院では検査・治療の準備と介助にも携わっており、消化器内視鏡技師資格を取得した臨床工学技士等が専門性を持って業務に取り組んでいます。早期がんに対する治療の内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)や総胆管結石や腫瘍による閉塞に対する内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)などの専門的治療の補助も行っています。
また、緊急性の高い止血や異物除去の介助にも対応しています。

7.特殊業務

幹細胞採取(末梢血幹細胞採取・骨髄濃縮業務)
末梢血幹細胞採取は、血液内科依頼で、遠心型血液分離装置を用いて末梢血管より採取をおこないます。臨床工学技士は遠心型血液分離装置の操作を担っています。
骨髄濃縮業務は、採取された骨髄液中の不必要な赤血球や血漿を除去し選択的に造血幹細胞を採取する方法です。臨床工学技士は採取された骨髄液を、遠心型血液分離装置を用い、骨髄液から必要な成分の採取をおこないます。

院内での医療機器勉強会
当院の新人看護師、現存機器、新規医療機器購入時在宅人工呼吸器患者の入院に対してなど、多職種スタッフへ臨床工学技士が勉強会を行い、院内の安全管理の向上に努めています。


  • 【院内モニター講習会】

  • 【新人看護師に対する除細動器講習会】

8.その他

当直業務
当直を平成29年10月から1名体制で実施。緊急カテーテル及び内視鏡検査・治療対応や、ICUでの血液浄化、院内呼吸器管理、機器トラブルに対応し、24時間・365日、病院の安全に貢献しています。

学会参加・発表
様々な認定資格維持のための学会参加や発表について積極的におこなっています。

臨床実習生受け入れ
臨床工学技士の育成貢献のため、実習生の受け入れをおこなっています。

スタッフ紹介

臨床工学科技士長 臨床工学技士

高岡 祐子

たかおか ゆうこ

卒業年次平成7年
専門臨床工学技士
資格人工心臓管理技術認定士
透析技術認定士
日本アフェレシス認定技士

臨床工学科主任技術員 臨床工学技士

本田 博一

ほんだ ひろかず

卒業年次平成11年
専門臨床工学技士
資格体外循環技術認定士
人工心臓管理技術認定士
3学会呼吸療法認定士

次席 臨床工学技士

小澤 直人

おざわ なおと

卒業年次平成18年
専門臨床工学技士
資格体外循環技術認定士
人工心臓管理技術認定士
3学会呼吸療法認定士

次席 臨床工学技士

和田 智至

わだ ともゆき

卒業年次平成15年
専門臨床工学技士
資格透析技術認定士
3学会呼吸療法認定士

主任 臨床工学技士

新谷 剛

しんたに つよし

卒業年次平成6年
専門臨床工学技士
資格人工心臓管理技術認定士
透析技術認定士
3学会呼吸療法認定士

主任 臨床工学技士

村野井 一樹

むらのい かずき

専門臨床工学技士
資格体外循環技術認定士
人工心臓管理技術認定士
周術期チーム医療臨床工学技士

主任 臨床工学技士

金澤 佑樹

かなざわ ゆうき

主事 臨床工学技士
  • 若杉 卓矢(わかすぎ たくや)
  • 柴村 真希(しばむら まき)
  • 梶 真悠子(かじ まゆこ)
  • 益山 春香(ますやま はるか)
  • 玉田 史織(たまだ しおり)
  • 佐藤 優(さとう ゆう)
  • 石田 みのり(いしだ みのり)
  • 山中 健司(やまなか けんじ)
  • 山内 楓(やまうち かえで)
認定資格取得者
  • 透析技術認定士 9名
  • 3学会合同呼吸療法認定士 7名
  • 体外循環技術認定士 5名
  • 人工心臓管理技術認定士 8名
  • 日本アフェレシス認定技士 1名
  • 心血管インターベンション技師 2名
  • 周術期チーム医療臨床工学技士 1名
  • 消化器内視鏡科技師 1名
  • 医療情報コミュニケーター 1名