呼吸器内科

午前 片岡 山本・村野 臼井 山本・山田 山本・齋藤・望月
午後 山田・石橋 山本 山田 山本・山田 山本・齋藤

特徴

呼吸器内科では肺癌(がん)を中心に気管支・肺、胸腔、縦隔、肺血管系の疾患を扱います。呼吸器学会専門医、総合内科専門医、がん治療認定医、アレルギー専門医の資格を有した医師が、質の高い医療の提供に努めています。当然のことですが、疾患だけを診るのではなく患者さんの状態やご希望を考慮したうえで検査、治療をするように心がけています。

  • 肺癌に対してはガイドライン等を遵守しつつ、高齢者の生活機能障害に着目して治療方針を決定しています。いわゆる抗がん剤による治療が中心ですが、分子標的治療薬、免疫チェックポイント阻害薬、定位照射、縮小手術など比較的負担の少ない治療を、症例を選んで実施しています。
  • 手術の必要な肺癌、縦隔腫瘍、気胸などは、当院の呼吸器外科、大学病院等と連携をとって迅速に対応しています。開胸術に比べ負担の少ない胸腔鏡による手術が主体ですからご高齢の方でも安心して手術が受けられます。
  • 気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の自己管理、家族指導を基本としたきめ細かい治療を行っています。
  • 慢性呼吸不全に対する在宅酸素療法(HOT)、慢性II型呼吸不全に対する在宅非侵襲的陽圧換気療法(NPPV、鼻マスク式人工呼吸)、閉塞性睡眠時無呼吸症候群に対する鼻マスク持続陽圧呼吸療法(CPAP)も症例を選んで実施しています。
  • 気管支鏡検査(平成27年度実績:183例、平成28年度実績:161例、平成29年度実績:117件)、呼吸機能検査、各種画像検査、薬剤吸入指導、禁煙指導など適宜行っています。

外来医師配置表

疾患診療方針概要

  • 肺癌

    当院で診断する肺癌患者さんの平均年齢は約80歳です。今日の肺癌診療においては、75歳以上の方を「高齢者」と考えますから、当院の肺がん患者さんのほとんどが「高齢者」となります。標準的治療とされる各種の治療法は70歳以下の患者さんのデータに基づいて決められたもので、75歳以上の方にそのままあてはめることはできません。つまり、肺癌の治療を受ける方のほとんどが、明確なデータに乏しい治療をうけることになります。しかしながら当院では、単に寿命をのばすことを目標とはいたしません。「いまの生活をできるだけ長く続けられる」方法を、患者さんの元気さ、合併症の有無、ご本人・ご家族のご希望などを考慮し、患者さんとよく話し合った上で決めていきますのでご安心ください。
    80歳を超える方でも、心臓や肺の働きが十分で、日常生活が自立していらっしゃる方であれば手術を選択できます。当院の肺癌手術は、比較的患者さんの負担が少ない胸腔鏡下手術が基本です。手術で根治困難な患者さんも、お元気な方であれば何らかの治療に臨むことができます。例えば、体力がなく根治手術が困難な肺癌患者さんに対しても、抗がん剤や免疫チェックポイント阻害薬、分子標的治療薬、定位放射線照射などを提案できることがあります。少なくとも、高齢だからという理由だけで治療をあきらめる時代ではなくなってきています。
    一方で、高齢者に対して抗がん剤などの積極的な治療を行うと、結果的に体力を消耗させてしまったり、思わぬ合併症を生じて寿命をのばせない可能性もあります。当院では「いまの生活をできるだけ長く続けられる」よう、抗がん剤などの治療がご本人の生活機能障害を防ぐ上で有益でないと判断された時点で、積極的な抗がん治療を行わないことを提案しています。
    診断は、主に気管支鏡検査で行っています。まず、検査中は鎮静剤や鎮痛剤を使用し、患者さまの苦痛を最小限にするよう努力しています。肺の奥にある病変は直接目で見えません。事前にCT画像を撮影し、どの気管支をたどっていけばよいのか、その経路を3D画像として作成しておきます(図1)。図1.jpg

図1:CT画像から作成した3D画像をもとに気管支鏡を誘導する

検査中はこの画像を参照しながら、目的とする病変に向けて正確に超音波を出す細い管(プローブ)を誘導します。病変までこのプローブの先端を誘導したら、そこで超音波画像を確認し、確実に病変の中にプローブ先端があることを確認します。あとはそこで組織を採取するだけです。これをガイドシース併用気管支腔内超音波断層法 (EBUS-GS)(図2)といいますが、病変を見ながら組織を採取できるため、より正確な検査ができます。そして結果的に、病変以外の部位で不必要に組織をとったり、長時間透視を用いて病変を探す必要もありませんので、患者さまへの負担は少なくなります。さらに、この方法を用いた方が術中の出血が少ないというメリットもあります。

ガイドシース併用気管支腔内超音波断層法 (EBUS-GS)

図2:ガイドシース併用気管支腔内超音波断層法 (EBUS-GS)

また、気管支の裏に隠れて見えないリンパ節も、超音波気管支鏡ガイド下針生検(EBUS-TBNA)(図3)を行えば、超音波で病変を同定し、気管支の壁越しに組織を採取することも可能です。

図3.jpg

図3:超音波気管支鏡ガイド下針生検(EBUS-TBNA)

さらに最近では、検査中に得た細胞をその場で染色し、目的とする細胞(特にがん細胞)がきちんと採取できているかどうかを確認するようにしています。これをROSE (rapid on-site evaluation)と言いますが、検査中に目的にかなった検査が行えているかどうかを確認しながら検査を進めるため、診断の確実性が高まります。通常、採取した組織の結果が出るまでに1-2週間はかかりますが、その結果、もし期待した結果が得られていなかった場合は、改めて同じ検査をしなければいけないという事態も起こりえます。最悪の場合、月単位で診断が得られないこともありえます。ROSEを行うことによって、ほとんどの場合は1回の検査で診断に必要な検体量を確保することができ、結果、患者さまの検査負担は少なくなり、しかも診断の遅れを可能な限り防ぐことができます。
気管支鏡検査を行わなくても、皮膚の上から生検針を刺し、組織を採取できる場合もあります。この場合も、局所麻酔を行った上で、CTあるいは超音波で病変を同定し、生検針を用いて組織を採取します(図4)。当院では、症例を選んで、被爆の少ない超音波ガイド下生検を積極的に行っています。

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図4:エコーガイド下経皮生検

  • 慢性閉塞性肺疾患(COPD)

    COPDは喫煙や粉塵曝露の影響で気道が狭くなる疾患です。ほとんどの患者さんは肺が破壊されて、「肺気腫」という、肺がスカスカの状態になります。軽いうちはほとんど自覚症状がなく、咳、痰、呼吸困難といった症状が出てきたときにはかなり進行しています。最も有効な治療は「いますぐ禁煙」です。本数を減らしても、軽いタバコに替えても、効果はありません。一刻も早くやめることで、肺の機能をより長持ちさせることができます。残念ながら、当院に禁煙外来は開設されていませんが、スモーカライザーも用いた禁煙指導を熱心に行っています。COPDの薬物治療は、主に症状の改善と急性増悪(ご病状が急に悪化すること)の予防を目的としていますが、近年はこの領域の進歩がめざましく、ご高齢の方でも比較的続けやすい吸入療法を選んで提案してまいります。またCOPDの患者さんでは、日常生活における身体活動度がその後の病状経過を大きく左右することがわかっています。そこで、ご高齢の方でも可能な身体活動プログラムを患者さんごとに提案してまいります。急性増悪の際には、入院治療を含めて迅速に対応していきます。

  • 気管支喘息

    喘息は子どもの病気ではありません!罹患歴の長いケース、COPDとの区別が難しいケース、ときにはCOPDと合併しているケースもあり、肺の機能がひときわ低下した重症例がむしろ多くなります。基本的な治療方針は副腎皮質ステロイドの吸入と気管支拡張剤の吸入・内服ですが、気管支拡張症といった既存の気道病変がある場合の治療はケースバイケースで対応してまいります。重篤な発作の際は入院も考慮し、十分な治療を行います。

  • 間質性肺炎

    薬剤性肺炎、過敏性肺臓炎などアレルギー性機序がはっきりしている場合は抗原からの隔離や副腎皮質ステロイドの内服・注射など、迅速に対応しています。関節リウマチなど、膠原病に合併した間質性肺炎には、当院膠原病科と連携して対応しています。原因のはっきりしない間質性肺炎に対する治療法は残念ながら確立されていませんが、条件があえば、進行をゆるやかにする治療も行なっています。急性増悪時は入院のうえ、副腎皮質ステロイドの注射や呼吸管理など迅速に対応しています。

  • 肺炎

    当院に入院する肺炎患者さんの平均年齢は約80歳で、そのほとんどが誤嚥(ごえん)性肺炎です。脳梗塞の既往、認知症やパーキンソン病などの神経変性疾患、入眠剤の内服、廃用による喉頭挙上不全などにより、高齢者の嚥下機能は低下しています。さらに、高齢者では嚥下(えんげ)反射・咳反射が低下しており、そのため、(不思議に思われるかもしれませんが)食事でむせない方でも誤嚥性肺炎になります。いろいろな薬を内服されている方の中には薬剤の副作用として嚥下反射が低下していたり口腔内分泌が減少している方も多く見られます。インフルエンザワクチンの接種や肺炎球菌ワクチンの接種は肺炎の予防に有効ですが、それだけで高齢者の肺炎を予防することはできません。当科では「誤嚥はしても肺炎になりにくくする」ための生活指導や嚥下体操、ときには内服薬の中止も積極的にお勧めし、肺炎の予防とともに生活機能の維持・向上をはかるよう心がけています。
    しかし高齢者では、基礎体力が低下しており、心臓・腎臓・肺などの合併症をお持ちの方も多いため、残念ながら肺炎でお亡くなりになる患者さんが多いのも事実です。また、誤嚥は常に繰り返しおきているため、高齢者では肺炎を常時患っていると考えておくことも重要です。実際に臨床症状(発熱や呼吸困難)が現れたときにはすでに重症ということが多いのも、高齢者の肺炎で死亡率が高い要因の一つになっています。それだけに、早期発見と発症時の迅速な対応が必要です。当院では入院の受け入れ(内科系各科)、抗菌薬の選択、呼吸管理など、高齢者を取り巻く環境や肺生理に基づく総合的な対応を行なっています。

  • 睡眠時無呼吸(低呼吸)症候群

    睡眠中に無呼吸あるいは低呼吸となる睡眠時無呼吸(低呼吸)症候群(1時間あたり5回以上の無呼吸・低呼吸が認められる)は、高齢者の20%以上でみられ、夜間の頻尿や断眠、日中の眠気の原因になります。こうした症状の原因に無呼吸があるとは、なかなか気づかれないものです。重症(1時間あたり30回以上の無呼吸・低呼吸が認められる)の場合は、その後に脳卒中や心筋梗塞といった重大な疾患に罹患するおそれが高くなるとさえ言われています。鼻マスク持続陽圧呼吸(nasal CPAP)療法を行うと、多くの患者さんで自覚症状の改善が得られます。諸々の理由で、実際に治療できる方は限られますが、症状がある方には一度簡単な検査を受けて頂き、この病態が疑わしい場合にはさらに精密な検査(睡眠ポリグラフ)を行って治療の適応を評価します。

  • 在宅酸素療法(HOT)

    肺の術後や肺結核の既往、COPD、間質性肺炎、気管支拡張症などで呼吸機能が低下すると、空気中の酸素だけでは足りず酸素吸入を必要とすることがあります。HOTは自宅にいながらにして酸素吸入を受けられる治療で、現在、当科でも100名前後の方がこの治療を受けながら日常生活を送られています。この治療を受けるには厳格な適応基準がありますので、呼吸が苦しくてもHOTを受けられない(あるいは受けない方がよい)こともあります。また月に1回の外来通院が必要になりますので、移動が困難となったご高齢の方、その介護をされる方にとっては大変負担が大きくなることも事実です。当科では数年前から「在宅酸素療法地域連携パス」を活用して地域医療機関との連携を行っています。これは、かかりつけの地域の先生からHOT適応の患者さんをご紹介いただき、当院でHOTの指導・導入後、地域医療機関診療所パスを用いながらフォローしていただくシステムです。高齢者ではせっかくHOTを導入しても有効にお使いになれない患者さんが少なからずいらっしゃいます。定期的に病状、酸素流量、機器の取り扱い、呼吸法などの項目をチェックすることにより、問題点を早期に発見し対処することが出来ます。また急性増悪の際は最優先で入院を受け入れております。
    換気機能が低下し、高炭酸ガス血症を呈した慢性II型呼吸不全に対しては、非侵襲的陽圧換気療法(NPPV)も症例を選んで実施しています。

主な対象疾患(治療実績)

  • 腫瘍性疾患:肺癌、縦隔腫瘍、胸膜中皮腫など
  • 閉塞性肺疾患:喘息、COPD(肺気腫、慢性気管支炎)、細気管支炎など
  • 拘束性肺疾患:間質性肺炎、肺結核後遺症など
  • 肺感染症:急性肺炎、急性気管支炎、非結核性肺好酸菌症、肺アスペルギルス症、胸膜炎など。肺結核の診断・治療もしますが、排菌のある場合は当院に入院や通院ができないため専門病院に紹介します。
  • アレルギー性肺疾患:過敏性肺炎、好酸球性肺炎、サルコイドージスなど
  • 胸水、気胸の診断と治療
  • 急性呼吸不全、慢性呼吸不全に対する呼吸管理
  • 睡眠時無呼吸症候群
  • 肺循環疾患:肺血栓塞栓症、肺高血圧など

スタッフ紹介

呼吸器内科部長

山本 寛

やまもと ひろし

出身大学東京大学
卒業年次平成9年
専門呼吸器疾患全般、高齢者肺癌
担当外来/担当診療科呼吸器内科
資格日本内科学会 総合内科専門医
日本呼吸器学会 呼吸器専門医・指導医
日本呼吸器内視鏡学会 気管支鏡専門医・指導医
日本老年医学会 老年病専門医・指導医・代議員
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会 代議員
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
肺がんCT検診認定機構 認定医
東京都身体障害者福祉法第15条指定医
(呼吸器機能障害)
東京大学医学部生理学教室非常勤講師

呼吸器内科専門部長

山田 浩和

やまだ ひろかず

出身大学山梨医科大学
卒業年次平成4年
専門呼吸器疾患全般、アレルギー疾患、膠原病、びまん性肺疾患
担当外来/担当診療科呼吸器内科
資格日本内科学会認定医
日本呼吸器学会専門医・指導医
日本アレルギー学会専門医・指導医
日本リウマチ学会専門医
日本医師会認定産業医
インフェクションコントロールドクター
東京都身体障害者福祉法第15条指定医
(呼吸器機能障害)(肢体不自由)
常勤医
  • 佐塚 まなみ(さづか まなみ)
  • 石橋 昌幸(いしばし まさゆき)
  • 野木森 智江美(のぎもり ちえみ)
非常勤医
  • 望月 英明(もちづき ひであき)
  • 村野 陽子(むらの ようこ)
  • 齋藤 朗(さいとう あきら)
  • 臼井 裕(うすい ゆたか)
  • 濱谷 広頌(はまや ひろのぶ)