アルツハイマー病による軽度認知障害または軽度の認知症に対する新薬レカネマブ(レケンビ®)とドナネマブ(ケサンラ®)について

2024年11月26日

 新しい作用機序を持つアルツハイマー病による軽度認知障害または軽度の認知症の治療薬であるレカネマブ(商品名:レケンビ®)が、2023年12月20日に発売となりました。そして、2剤目となるドナネマブ(商品名:ケサンラ®)が2024年11月26日に発売となりました。レカネマブ(レケンビ®)やドナネマブ(ケサンラ®)は、抗アミロイドβ(ベータ)抗体と総称される薬です。本薬剤は厚生労働省が定めた最適使用推進ガイドライン(外部リンク)を守って使用することとなっており、当センターでは、これらの薬剤を安全かつ適正に使用できるよう、センター全体で体制を整えています。

受診から抗アミロイドβ抗体投与までは以下のような流れとなります。

1.外来を受診(予約専用電話(03-3964-4890)にお電話いただき、「抗アミロイドβ抗体(あるいはレカネマブまたはドナネマブ)希望」とお伝えください。)

 担当者がお話を伺い、もの忘れ外来の予約をとります。通常の初診外来を受診ください。抗アミロイドβ抗体の投与対象はアルツハイマー病による軽度認知障害または軽度の認知症に限定されます。すなわち、アルツハイマー病以外による認知症の方や、アルツハイマー病による認知症であっても進行している方は、受診の結果、投与対象外と判定される場合があります。投与対象の可能性があり、投与を希望される場合は、抗アミロイドβ抗体投与を専門的に検討する外来を受診していただきます。

2.抗アミロイドβ抗体の投与条件を満たすかの詳しい検査

 抗アミロイドβ抗体の投与対象は臨床診断に加えて、様々な検査によって厳格に規定されています。特に重要なのが、脳内にアミロイドβの蓄積が認められることと、副作用リスクの高い特有の脳MRIの異常がないことです。アミロイドβの蓄積を証明する検査として、アミロイドPET検査と腰椎穿刺によるバイオマーカー検査があり、どちらか一方を受けていただきます。また、過去にMRI検査を施行したことがあっても、改めて脳MRI検査を受けていただきます。専門医がこれらの検査を、それまでの検査結果等と合わせ、総合的に検討し、抗アミロイドβ抗体の投与の対象に該当するか否かを判断します。投与対象となった場合、外来で投与を開始します。

3.抗アミロイドβ抗体の投与

  • レカネマブ(レケンビ®)の場合 
    2週間に一度来院していただき、静脈点滴で薬剤を投与します。点滴にかかる時間は約1時間20分です。初回投与時は、投与終了から1時間程度、観察のため待機していただきます。投与後に発熱や関節の痛みといったアレルギー反応が出る場合がありますので、解熱鎮痛剤を処方します。また、投与開始から半年程度は脳の腫れや脳の出血などの副作用を生じる可能性があるため、定期的な脳MRI検査が必要です。
  • ドナネマブ(ケサンラ®)の場合
    4週間に一度来院していただき、静脈点滴で薬剤を投与します。点滴にかかる時間は約1時間弱です。初回投与は、入院(1日程度)での実施を予定しています。投与後に発熱や関節の痛みといったアレルギー反応が出る場合がありますので、必要があれば解熱鎮痛剤を処方します。また、投与開始から半年程度は脳の腫れや脳の出血などの副作用を生じる可能性があるため、定期的な脳MRI検査が必要です。
  • 半年以降の投与について
    当センターは地域拠点型認知症疾患医療センターとして、地域の必要としている患者さんに治療の機会を提供するミッションがあります。抗アミロイドβ抗体を初回導入できる医療機関は限られますので、より多くの新規の患者さんに治療を提供するため、投与から半年が経過し、安全に投与を行えている患者さんについては、連携する医療機関に移って投与を継続していただきます。半年ごとに必要な評価は引き続き当センターで行います。

 以上が大まかな流れとなります。
 受診を希望される方は、予約専用電話(03-3964-4890)へお電話いただき、「抗アミロイドβ抗体(あるいはレカネマブまたはドナネマブ)希望」とお伝えください。

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関連リンク

  • 特設ホームページ「アルツハイマー型認知症の新しい薬ができました」
    編集・発行:東京都福祉局高齢者施策推進部在宅支援課、地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター)
    認知症抗体医薬「レカネマブ」について正しく理解いただけるよう、アルツハイマー病に関する様々な知識や治療に関する情報等を正確に分かりやすく掲載しています。
    都民の皆様はもちろん、医療・介護関係者の皆様など、どなたでもご覧いただけます。

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    主な掲載内容
    ・認知症の原因になる病気
    ・アルツハイマ―病で見られる脳の変化
    ・新しい治療薬「レカネマブ」について(治療前の検査、副作用、治療提供医療機関など)
  • 講演動画(YouTube)
    ・第169回老年学・老年医学公開講座「アルツハイマー病の新しい治療薬『レカネマブ』とは?ー認知症と共に暮らす共生社会の実現ー」

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  ・令和6年度特別講演会/「当院におけるレカネマブを用いた認知症診療の実際」
  東京都健康長寿医療センター 脳神経内科 医長 井原涼子
  
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