光力学的診断(Photodynamic diagnosis: PDD)による経尿道的膀胱腫瘍切除術開始のお知らせ

泌尿器科
2017年12月27日

光力学的診断(Photodynamic diagnosis: PDD)は光感受性物質を内服後、腫瘍に特異的に取り込まれた同物質に対して励起光を照射して発生する蛍光波長を検知することにより肉眼的には認識困難な腫瘍を診断する方法です。

光感受性物質として用いられる5-アミノレブリン酸(5-Aminolevulinic acid: 5-ALAアラグリオ)は動植物の生体内に含まれるアミノ酸の一種で、赤ワイン、お茶、お酢等の食品に多く含まれています。泌尿器科領域では、PDDは膀胱上皮内癌などの平坦病変をターゲットとした新しい診断法として発展し、筋層非浸潤性膀胱癌において、診断率の向上とそれに伴う残存腫瘍の減少による非再発率の向上が明らかになっており、ヨーロッパのガイドラインで膀胱上皮内癌の診断において推奨されています。

国内でPDDを行うことのできる施設はまだ非常に限られていますが、2017年12月より膀胱癌に対してアラグリオ経口剤の販売が開始されました。当院でもアラグリオ投与によるPDD併用の経尿道的膀胱腫瘍切除術を2018年1月より開始しております。また、腎盂癌や尿管癌に対する尿管鏡検査にもPDDを用いております。安全性に問題はなく、通常の白色光では診断が不可能であった病変を蛍光励起させることによって視認、診断し、かつ確実に切除できます。