インペラ(IMPELLA):補助循環用ポンプカテーテル・経皮的補助人工心臓

インペラとは左心室に留置し循環を補助するための超小型のポンプを内蔵したカテーテル装置です。日本では2017年9月に保険適用となり、重症心不全や心原性ショックなどの治療に積極的に取り組んでいる当センターでは2018年5月と早い時期から使用可能となっております。そして、インペラを用いた治療には、循環器内科と心臓血管外科が連携して取り組んでおります。

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画像:アビオメッド社

構造と種類

インペラは超小型のポンプをカテーテルに内蔵しており、左室内に留置し吸入部から血液を吸い込み、その血液を大動脈内の吐出部から送り出す事で順行性に循環を補助します。また、モータ側から血流と逆方向にパージ液(ヘパリン加ブドウ糖液)を流す事で、モータ内への血液の侵入を防ぎポンプ内で血液が固まる事を防いでいます。現在、日本ではIMPELLA 2.5®、CP®、5.0®の3種類があり、循環補助するレベルはポンプ回転数に応じて10段階(P0-P9)あります。

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画像:アビオメッド社

効果

インペラによって左室内の血流を吸入する事で、左室の仕事量を軽減します。また、心臓を栄養する冠動脈の血流を増加させる効果が期待でき、心筋への酸素の供給を増加させつつ、酸素の需要を軽減し心筋の回復を手助けします。そして、左室内で吸入した血液を大動脈内に送り出す事で、動脈圧が上昇し循環を補助する効果があります。

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適応

急性心筋梗塞や心筋炎などによる薬物による治療が困難な、循環不全が遷延する重症心不全や心原性ショックの症例で使用します。

禁忌

大動脈弁置換術後(機械弁)、中等度以上の大動脈弁逆流症、大動脈解離、大動脈瘤、重度の閉塞性動脈硬化症、大動脈の高度屈曲や蛇行、左室内血栓

挿入部位

主に大腿動脈や鎖骨下動脈

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画像:トーアエイヨー社

動画:アビオメッド社